起業は究極の遊び

すべての顧客&社員&取引企業が輝くことの出来る「日本で一番大切にされる会社」「社会にとってかけがえのない会社」「地域にとってカッコいい会社」を創造するためのヒント。 さらには、会社にとって、社会にとってかけがけのないビジネスパ-ソンになるためのヒントのおすそわけ!

運・不運

藤本義一氏(小説家)に学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・

「運がよかった」「運がわるかった」「運が一向に巡ってこない」こういった言葉はよく日常に交わされるものだ。

切羽詰まった時には、運を天に任すなどという。

が、これはどうやら武士の群から生じたものらしい。

戦いに敗れたなら運がなかったという発想である。

つまりは諦めの時に口にして、自分を納得させたのだろう。

武士道ではこの言葉が通用しても、商人道では通用しないのが原則である。

これを明確に記述しているのが近江の豪商・日野商人の中井源左衛門家に代々伝わる初代の良祐氏の直筆である。

商人たる者は、運がよかったとか運がわるかったとかいう言葉を絶対に使ってはいけないというのだ。

えてして成功した人を羨んだり嫉妬したりして、「あの人は運がよかったからな」という商人は小商人以下だといっているのだ。

そういうことをいう商人は成功した商人の百分の一の努力もしていないと断言する。

その人の日夜の努力を考えたなら、そんな言葉は口に出せないだろうと諌めている。

この良祐氏の言は実に正しいという他はない。

運気、運勢、運営、運動、運命と“運”の熟語はかなりある。

が、運は運ぶ(はこぶ)ことなのである。

運ぶという文字は、軍隊が「しんにゅう」という大きな船に乗って移動していく状態である。

だから“運”は自らを運ぶ努力をしていないことには終生やってこないということを意味している。

運ぶエネルギ-を見せないかぎり運に巡り合わないということになる。

これはサラリ-マンとて同じことである。

運ぶということは相手に自分の存在を認識させることなのだ。

この“運ぶ”という行為を現代に用いて成功した人は多い。

チェ-ン展開をしているお好み焼きの“千房”もそのひとつだろう。

オ-ナ-の中井氏は、はじめは小さな店を構えて、お好み焼き屋をやっていたが注文はなく、売り上げは極めて少なかったという。

そこで、彼はなにをしたかというと、岡持を下げて近所を自転車で忙しく走りまわった。

空の岡持を手に走りまわることで、その店が忙しい、つまり出前が頻繁にある店だと町の人は思う。

やがて注文が殺到することになる。

自らの体を運ぶことによって店をイメ-ジ付けたわけだ。

運ぶという行為を馬鹿にしてはいけない。

運ぶエネルギ-がやがて信用を生んでいくのである。

運べよ、されば運は拓かれんというのは、どの世界にもいえるのではないか。

運は待っていても転がってこないのだ。

(よみがえる商人道/日刊工業新聞社

運は待っていても転がってくるわけではありません。

まずは相手に自分の存在を認識させることが必要です。

相手に自分の存在を認識させるということは停滞している“運気”を動かすことでもあります。

運気を自らが動かすことによって、新たな出会いが生まれ、事業が好転するようになる・・・。

すべては動かすか動かさないかということです。

このように考えれば先の良佑氏が言っていたように商人たる者は、運がよかったとか運がわるかったとかいう言葉を絶対に使ってはいけません。

「運が悪かった」という人は自分は怠け者ですと宣伝しているようなものでしょう。

私たちは一生涯批評家として生き、臆病者であり続けることも出来ますし、一生涯行動家として生き、挑戦者であり続けることも出来ます。

一瞬たりとも気を抜かず、運気を動かすように努めていきたいものです。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。