淀川長治氏に学ぶ「誉めることの大切さ」
菅生新氏(放送ジャ-ナリスト)に学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・
私は映画が大好きで、見る映画を選ぶために映画評論をチェックすることがありますが、ときどき読んでいて辛くなります。
とにかく映画をけなす評論家が多いからです。
自分の価値観、つまり物差しを鼓舞する満足感から批判するような内容も少なくありません。
そんな中で、故・淀川長治氏だけは、どのような映画も決してけなさないことで有名でした。
淀川氏は映画を作る大変さ、監督やスタッフの苦労を知っていたので、どのような映画にも良いところを探して評価しました。
もちろん、中には駄作もありますが、決して感情的にはけなしません。
必ず良いところを探して誉めます。
ただ誉めるだけではなく、その手法を批評することはあります。
スト-リ-展開、カメラアングルなどの手法を批評することはあるのですが、映画全体のことは決してけなしません。
私は、この淀川氏の姿勢を見習うべきだと思います。
対象が映画ではなく人間の場合でも同じということです。
その人自体をけなしてはいけません。
たとえば、部下に対して「だからおまえはダメなんだ」と叱ってはいけません。
仕事の手法や方向性について指摘するべきです。
その人自身を批判することは、人間性否定ということになりますから絶対してはいけません。
言葉遣いや行動については叱ってもよいのです。
内面的なことを否定されたら、誰でもモチベ-ションが下がります。
「そんなことをしているから、だから、おまえはダメだ」と自分が言われることをイメ-ジしてみてください。
嫌な気持ちになります。
ですから、「そのやり方はダメだけど、おまえは見込みがある」と言うべきなのです。
(成功した起業家はなぜモチベ-ションを持ち続けられるのか/しののめ出版)
自分の人格を否定するような上司や社長の元では働きたくない・・・、このような部下の嘆きは幹部であれば皆重々承知でしょうが、それでも言ってはいけない一言を部下に対して投げかけている幹部は多いようです。
「お前はだからダメだ、使えない!」「お前はバカか!」「そんなんじゃ、どこ行っても通用しない!」などなど・・・。
こういう上司にとっては“部下は自分の所有物である”・・・、このような認識なのでしょうか。
また、とても大きく深い劣等感を抱えているのでしょうか。
一方で私の知人ですが、新しい社員が入ってくると、“今度はどんないのちがやって来てくれるのだろう”という思いで社員を見ている人がいます。
ですから社員皆一人ひとりは違う存在であるという認識があるので、1回言ってわかる人もいれば、10回言ってやっとわかる人もいることを理解しています。
このような視点があると“出来がいい社員”、“出来がよくない社員”という概念がなくなるので部下からとても慕われるのですよね。
部下との円滑なコミュニケ-ションを築いていく上で誉めるということも確かに大切ですが、その前に自分は部下にとって何者なのかを考えていった方が良いでしょう。
日本の社員が如何に優秀か・・・、この部分をあらゆる視点から自分なりに研究してみると、先程のような言葉はとても発することが出来なくなるように思います。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。