「一対一・六対一・六の二乗の法則」を知る
五十棲剛史氏(ビジネスプロデュ-サ-)に学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・
有名な話があります。
某ファ-ストフ-ド店に「ハンバ-ガ-を100個ください」と注文をしに来たお客さんがいました。
何かの会合でおやつ代わりに配るつもりだったんでしょうね。
それを受けた店員さんは、こう言いました。
「店内でお召し上がりですか?」
相手がボブ・サップならまだしも、常識的におかしいですよね。
「んなわけあるか!」って、思わずツッコミたくなります。
でも、自分の頭で考えていないと、いつしかこんなマニュアル通りの対応しかできなくなってしまう人も現実に多いんです。
たとえばレストランのマニュアルでは、お客さんを案内するテ-ブルの順序なども、きちんと決められていると思います。
中年のお客さんが一人でご飯を食べにきました。
マニュアルに従えば、案内する席はあそこ。
でも隣には学生の団体客が陣取って、やんややんやの大騒ぎ。
空いている席は、ほかにいくらでもあります。
それでもあなたは、その学生客たちの隣の席に、お客さんを案内しますか?
これは、かわいそうですよね。
仮にあなたがお客さんだったとして、そんな席に案内された。
食事の30分間、とても不快な思いで過ごしてしまった。
さて、またその店に食事をしに行こう、なんて思いますか?
だからいまサ-ビス業界で、数多く導入されている「改善策」があります。
それは「マニュアルの破棄」なんです。
現に、あるファミリ-レストランのチェ-ン店が、マニュアルを一切やめて大成功したことがありました。
マニュアルを破棄してどうするか?
自分の頭で考えさせるのです。
仕事の役割を、そしてそれを果たすために、自分はどう行動するかをです。
船井総研の船井幸雄名誉会長が、かつて「一対一・六対一・六の二乗の法則」というのを提唱したことがあります。
どういうものかというと、「これをやりなさい」と言われ、社員が命令に従って仕方なく仕事をやる。
そのときの生産性を一とします。
次に、同じ指示を出すにしても、今度はその社員が「やりたい」と思っていることをやらせる。
そうすると前者の一に対し、一・六の生産性で仕事ができるようになります。
さらに今度は仕事の指示すら出さない。
自分でどんな仕事がやりたいかを考えさせ、完全に任せて仕事をやってもらう。
そうすると一・六の二乗、つまり二・五六の生産性で、仕事ができるというんです。
自分の頭で考えられる人は、人が喜ぶこと、あるいは自分が貢献できることを、きちんと自分の仕事として実行できます。
だからこそ、それに伴って実績も出てくるということなんです。
(なぜ、あなたは働くのですか?/五十棲剛史)
本来、会社におけるマニュアルとは社員の能力を更に生かすためのものであり、社員を仕事に縛りつけるものではありません。
しかし、ある程度改善されてきているとはいえ、マニュアルの中でしか行動出来ない社員は多いようです。
これはマニュアルの本来の意味を理解していなこともあるのでしょうが、日本の社会がミスを容認しない社会であることも要因の一つなのではないでしょうか。
ミスが容認されないのだから、どうしても失敗を避けるようになります。
失敗を避けることが頭にあるから、これまたどうしてもマニュアル的な人材になってしまう・・・。
マニュアル的な人材とは失敗を恐れている人材ともいえるかもしれません。
失敗を恐れているから自分の頭で考えて行動することが出来ません。
これでは長期的視点で見た場合、会社にとっても社員にとっても利益にならないことは明らかです。
マニュアルはマニュアルで大切なものです。
マニュアルは一つの“型”であるし、その会社の歴史でもあるからです。
マニュアルという“型”を生かしていくにはどうしても自分の頭で考える習慣が必要です。
そのためには成果に関係なく失敗(チャレンジ)の数を目標にするのも一つでしょう。
失敗(チャレンジ)すればするほど考えることが楽しくなっていく・・・。
そして楽しくなってくるから仕事の実績も上がる・・・。
自分の頭で考える習慣・・・、いつまでも大切にしていきたいものです。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。