大失敗をした社員には「大失敗賞」を与えよう
東洋経済オンラインに学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・
工場用部品、住宅用部材を製造する会社です。
医療機器や航空機の精密部品など、1万点もの品ぞろえがあります。
この会社、従業員の処遇に実に面白い工夫をされています。
そのひとつが、「大失敗賞」です。
多くの企業では、頑張った社員や会社の売り上げに貢献した社員を表彰する顕彰制度を導入していますが、失敗した社員を表彰する賞は、聞いたことがありません。
社長の城岡陽志さんに「大失敗賞」を始めた理由をお聞きしました。
「うちは下請けの会社です。
でも、それだけでは面白くない。
社員から、自社ブランドのアイデアを募集したんです。
ある社員の提案で、車載用のアクセサリ-を自社商品化して売り出しました。
調子よく売れていると思っていたら、ある時点からどんどん返品されて在庫の山に。
売れない場合は返品される、という商習慣を知らなかったんです。
結果は5000万円の大損。
当時の年間利益が吹っ飛ぶくらいの損失でした」
当然、皆のボ-ナスは出ません。
職場のム-ドも暗くなり、赤字を出した社員は居心地が悪くなっていきました。
城岡社長は気づきました。
「ここで提案した社員をしかると、社内のム-ドは一層暗くなるだろう。
中小企業は新しいことに挑戦しないと生き残れないのに、誰もチャレンジしなくなるのでは・・・」
そこで、打ち出したのが「大失敗賞」でした。
失敗した社員に表彰状と副賞を贈呈するのです。
失敗した社員は嬉しいような恥ずかしいような。
「よし! もう1回リベンジして取り返してみせるぞ」と。
ほかの社員も「え! 失敗しても賞がもらえるんや」と。
職場のム-ドは一気に明るくなりました。
城岡社長は言います。
「社員も失敗したくてするわけではない。失敗したからといって、代わりの人材がいるわけではない」
そして、こう付け加えました。
「会社は失敗を乗り越えるノウハウを得た、と考えればええんや」
その後、大失敗賞を受賞した社員のアイデアで、新しい事業が生まれ、今度は大成功して、成長の原動力になっているそうです。
大失敗が大成功を生んだのです。
(執筆者:竹原信夫氏「日本一明るい経済新聞」編集長)
この太陽パ-ツでは他にも個人や団体部門を対象に、さまざまな表彰制度を設けているようです。
紹介しましょう。
◆「大チャレンジ大賞」:難度が高い取り組みテ-マにチャレンジした者を表彰
◆「いいところ探し大賞」:いいところ探しスピ-チで最も褒められた社員に与えられる賞
◆「はい、喜んで大賞」:いろいろな注文を気持ちよく受けてくれた社員に与えられる賞
◆「縁の下の力持ち賞」:朝最初にシャッタ-を開けたり職場にお花を飾るなど、目立たないけれども皆のために努力している人を表彰
失敗を更なるチャレンジ精神に変える仕組、社員一人ひとりの存在価値を認める仕組・・・、このような仕組があると社員さん一人ひとりの自主性が大いに育ってくるように思います。
そしてその結果、新たなアイデアも生まれ、業績も向上していくようになる・・・。
そもそも失敗の裏側にこそ新たな能力開発のチャンス、技術力向上のチャンス、業績向上のチャンス、そして金脈が隠されているわけで、社長はじめ社員一人ひとりが失敗をすればするほど、いや、大失敗をすればするほど会社としては大きな財産となっていくわけです。
とりわけ失敗の中でも大失敗をする社員というのは、会社の業績を飛躍的に向上させてくれる素晴らしい存在です。
社長の一番の仕事は、社員さん一人ひとりが失敗を楽しめるような環境を作ること。
そして、社員がどうしたら喜んでくれるかを考え続けること・・・。
全社員感動化計画・・・、是非実践していきたいものです。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。