経営者を引き受けるということ
丹羽宇一郎氏(元伊藤忠商事会長)に学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・
業績が落ち込んだら、まず市場から激しく叩かれる。
それだけならまだしも、会社の社員全員が路頭に迷う。
その家族も巻き込む。
トップになるとはそういうことです。
役職が上がるにしたがって、他人の人生の責任を負う量が増えてきます。
課長になると、課員とその家族に責任を持たなければなりません。
また自分の成績が悪いと、その課すべてに影響を及ぼす。
部長になると、さらにその責任が増える。
本部長になったら、事業会社の社員の責任まで負うことになります。
社長になったら、これまた全世界の何万人という社員全員に対する責任を背負っていかなければならないわけです。
ある一流企業の社長室に“汗出セ、知恵出セ、モット働ケ”という額がかけてあります。
社員のいるフロアではなく、社長室にかけてあることに意味があるのです。
社長室を来訪するような経営のトップこそ“モット働ケ”と、社員が背中を押しているように感じました。
日本の全企業の社員から各社長への、本音のメッセ-ジではないかと思います。
何百万の目玉が社長の背中を見ていることを忘れてはなりません。
たとえば電車通勤をすると言ったなら、雨が降ろうが槍が降ろうが電車で通勤する。
給料を返上すると宣言したなら、かならず実行する。
孔子は「食」(=食料)と「武」(=武器)と「信」(=信用)を治国三要と言っています。
このうち、最初になくなってもいいものは武器です。
次は食料です。
最後に残さなければならないのは信用だと言った。
「信なくして国立たず」というわけです。
同じように、信なくして会社は立ちません。
つまり経営者が社員の信頼を得られなくては、会社は成り立たないということです。
(人は仕事で磨かれる/文藝春秋)
丹羽宇一郎氏は、社長就任中には、同社の関連会社であるファミリ-マ-トや吉野家の弁当を自ら購入し、昼食を済ませ、出勤には、運転手つきの自動車などを使用せず、社員の目線に立つために電車を使用していたとのことです。(ウィキペディアより)
まさに社長としての本当の覚悟が出来ていた人とは言えないでしょうか。
代表取締役は別名、代表裏方役とも言われていますが、役割上、全体を俯瞰する視点に優れていなければならないことはもちろんですが、末端の社員の目線、視点も大いに大切にしなければなりません。
そのことがわかっていれば、運転手付きの車で悠々と出社など出来ないでしょう。
今現在も社長という地位や名誉、収入の高さのみを求めて、それに伴う責任などはいらないという・・・、まさにいいところやカッコいいところばかりを求めて社長を志す中堅幹部の人たちを時折見受けますが、このような人たちは会社を確実に破滅へと誘う人たちでしょう。
経営者とは会社の中で一番の裏方に徹し切れる人のことであり、また、知行合一を貫き通すことの出来る人・・・。
経営者はこのことを肝に銘じておきたいものです。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。