起業は究極の遊び

すべての顧客&社員&取引企業が輝くことの出来る「日本で一番大切にされる会社」「社会にとってかけがえのない会社」「地域にとってカッコいい会社」を創造するためのヒント。 さらには、会社にとって、社会にとってかけがけのないビジネスパ-ソンになるためのヒントのおすそわけ!

あなたはどんな生き方をしたいのか

北尾吉孝氏(SBIホ-ルディングスCEO)に学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・

私は当社への入社を希望する学生たち、二百~三百人と直接会って話を聞いています。

面接というと、普通は大学名を聞き、そしてクラブ活動でどういう役割をしていたかを聞く。

それから、志望動機を聞いて、同業他社との違いを聞いて、面構えをチェックする。

そういうパタ-ンが大半です。

しかし、私は他の多くの会社とは違う一風変わった質問をしています。

つまり、人間学的な立場から面接を行っているのです。

たとえば、私はこんな質問を投げかけてみます。

「あなたは人生の中で、どういうことに最も喜び、どういうことに最も悲しみましたか」

こう質問をすると、月並みではない、いろいろな答えが返ってきます。

「親が亡くなったことです。今、生きていたら親は非常に喜ぶと思います」というように、親に対する情愛を答える人がいました。

「大学に入ったことが一番嬉しかった」と答えた学生もいます。

その学生には、「その程度であなたは喜ぶの?大学に入るということがあなたにとってそんなに大事なこと?」と聞き返しました。

そうすると、彼はそこで改めて自分の生き方を見つめ直す必要が出てくるのです。

つまり、私の質問にどう答えるかで、その人が自分の人生をどれだけ深く考えてきたのかがわかる仕組みになっているのです。

それを知るために、こんな質問もしてみます。

「あなたこれからの人生を、どういう人生にしたいと思いますか」

その人間が今までどういう人生を送ってきて、これからどういう人生を送りたいのかを聞きたいのです。

ここがまず一番大事なポイントだと考えているからです。

面接での私の質問は、もちろん生き方だけにとどまりません。

幅広い視野を問うような質問もします。

「今、教育改革について議論されているけれど、あなたはどういう教育がいいと思いますか。あなたが受けてきた教育についてどう思いますか」

「今、日中関係が非常に悪くなっているけれど、どう思いますか。あなたが総理大臣ならどういうふうにしますか」

「あなたは国際性豊かな人間とはどういう人間だと思いますか。英語が話せれば国際的な人間ですか」

「今いろいろ質問してきたけれど、あなたは僕の質問をどういうふうに思いましたか、感想を言ってください」

この質問を、八人ぐらいの集団面接で全員にしています。

さらには、「みんながいろいろ僕の質問に答えてくれたけど、あなたは誰の質問に対する答えが一番印象深かったですか」と聞きます。

これらの質問をすると、面接を受けている学生は自分の答えばかり一所懸命に考えているわけにはいきません。

私は、他人の話も聞けて自分自身の意見もきちんと述べられる、そういう人間を採用したいのです。

今のような質問に対して自分の意見をきちんと述べられるためには、日頃から自己観察をして、自分自身のことをわかっていなくてはなりません。

己を知らない人が、どうして自らの将来を意識して変えることができるでしょうか。

私が本当に欲しいと思う人間は、いわゆる成績のいい優等生ではありません。

人間としてすぐれた可能性を持ち、仕事を通じて社会の中で成長していける人たちを採用したいと思うのです。

そういう人たちと一緒に、世の中をよい方向へと変えていきたいと考えているからです。

(何のために働くのか/致知出版社

北尾吉孝氏は一番初めの会社、野村証券入社前の最終面接で、当時の役員が「君たちはうちに入って何がしたいのか」と聞かれた時にこう答えたそうです。

「私は就職を決める前に先輩諸氏から仕事についての説明を受けましたし、会社のいろんなお話しもうかがいました。

けれど、実際に働いてみるまでは、どこで何をやりたいかという希望はありません。

ただ、どこで働いても世界経済の中の日本経済、日本経済の中の金融機関、金融機関の野村証券というように、三つの側面で考えていきたい。

そして、その中で与えられた場所で粉骨砕身頑張ります」と・・・。

まさに大きな視点を持ちながら、自分の役割を自覚し、その場を全うしようとする仕事観・・・。

大きなことを言って、小さなことを疎かにするのではなく、大きなことを言って、小さなことを大切にする・・・。

自分は何者かを知るよう努め、同時に自分が今何処にいるのかも冷静に分析する・・・。

誰もがこのような仕事観を身に付けたいと考えますが、そのためには一体どのようにすればよいのでしょうか。

それは「あなたはどんな生き方をしたいのか」という質問を自分に常に投げ掛け、深堀することでしょう。

「あなたはどんな生き方をしたいのか」・・・、この質問によって自分の中に強固な軸を構築することが出来ます。

この軸を持つことが出来ればどんな時代になっても生きていけることでしょう。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。