腹立たずの会をつくれ
童門冬二氏(作家)に学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・
黒田如水の人育ては、自分の息子の長政にも及んだ。
長政は、後に名将といわれるようになるが、若い頃は乱暴者ですぐ腹を立てた。
部下の扱いも乱暴だった。
特に長政が悪いのは、いわゆる“諌争(かんそう)の臣下”のいうことをまったくきかなかったということだ。
諌争の臣というのは、「自分を捨てて、主人の悪いところを諌言する家臣」ということである。
徳川家康がいみじくもこういった。
「主人に諌言することは、一番槍よりもむずかしい」
いった方は、少しいい過ぎたのではないか?と心配になるし、主人の方も、あいつは何か含むところがあって、俺にああいうことをいったのではないか?と疑心暗鬼になる。
黒田如水は、忠臣を側に近づけない息子の長政をこのままにしておけないと思った。
そこである時に助言をして、「腹を立てない会をつくれ」と命じた。
「腹を立てない会とは、どんな会でございますか?」
長政の問いに如水は答えた。
「毎月日を決めて、何回か会議を開く。
その会には、誰が出席してもいい。
そしてどんなことをいってもいい。
しかし、いわれた相手は、絶対にその会では腹を立てないという会だ。
思いきった意見が飛びかって、さぞかし黒田家の発展に役に立つだろう」
(「人望力」の条件/大和書房)
この書籍のタイトルは「人望力」。
著者の童門冬二氏は、人望とは「あの人のいうことなら、あの人のためなら」という、“なら”の気持ちを持たせることであると定義されています。
人望力を養うためには自分に対する批判、諌言を真摯に受け止めなければなりません。
人はどうしても心地好く耳ざわりの良い言葉を好み、自分に対する批判や諌言は聞きたくないものです。
しかし、この批判や諌言の中に自分の意識を向上させてくれるヒントが、また、現状の問題を解決することの出来るヒントが隠されていることも事実です。
とはいえ、会社組織においては、「部下は上司の批判を言ってはならない」というような暗黙のル-ルがあり、部下が上司に意見することは中々難しい状況ではあります。
だからこそ、上司の側から、部下が意見や批判を自由に言うことの出来るような雰囲気、仕組を作り上げる必要があると思うのです。
そのための良い参考例が「腹立たずの会」なわけですが、このような会を自社に設置してみてはいかがでしょう。
会の名称も自分なりに考えてみる・・・。
「無礼講の会」「諫言燦々会」というように・・・。
上の人間に忠告するということ・・・、言う方は物凄いエネルギ-、勇気を必要とします。
だからこそ、上司の側としてはこのような機会を積極的に設けていきたいものです。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。