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脱覇道の人、恩田杢

偉人から学ぶ人生の知恵

~恩田杢(おんだもく)編~

恩田杢・・・。

史上最高の改革者・・・。

ケネディ大統領をして最も尊敬する日本人と言わしめた上杉鷹山にも、大哲人である二宮尊徳にも大きな影響を与えた人物・・・。

目も当てられない悪条件をものともせず、そして汚職役人をも善用し、見事に藩の財政を再建した人、恩田杢。

今、経済の世界も政治の世界も混迷の度合を強めていますが、このような時こそ恩田杢の言葉に真摯に耳を傾けてみる必要があると思います。

藩政改革にあたって杢が一番始めに行ったこと・・・、それは「覚悟」を示すことでした。

笠谷和比古氏の著書から引用します。

『藩政改革にかける不退転の決意、自分の人生は大きな局面にきているので、親族とは一切の関係を絶ち、妻には暇を出して親元に戻るよう命じ、子供たちは勘当するからどこにでも行けといい、家来には別の奉公先を見つけろと申し渡しているのである。

役職を遂行するには、相互信頼の確立が不可欠であり、そのために今後一切嘘をつかないと自分は決意した。

しかしながら、家族や家来にそれを強要するのは難しい。

まわりの人々は、たとえ杢が嘘を一切つかないといっても、家族や家来が嘘をついているのを見れば、やはり杢の言うことは信用できないと疑うだろう。

そこで、妻と別れ、家来を首にし、親戚と義絶することにしたのだと杢は打ち明けている。

また「平生飯と汁より外は、香のものにても」食さず、着物も「木綿より外は着用至さざる」ことに徹する』と・・・。

杢の改革も、当然、藩士や農民に負担と犠牲を強いることになります。

しかしながらそのためにも、杢はまず自らに厳しい戒律を課すことによって、改革政治に対して自分自身にどれだけの覚悟があるかを人々に披歴したのでした。

また、領民を集めて藩の財政が破綻していることを明らかにし、心痛の思いで謝罪し、そして今後は政治の運営に際していかなる虚言を用いなければ、一度取り決めたことについては決して違約変更をしないという誓言をしています。

この覚悟と謝罪からすべてが始まった・・・。

杢が目指したものは、即効的な財政収支の改善というよりも、もっと政治の全体に対する信頼や誠実さの回復であったようです。

人々の間に信頼関係を確立すること・・・、このことが根本にあるからこそ、藩財政の改善も領内の富裕化も図れるということを良く理解していたのでした。

ですから人々が荒廃から立ち直ろうとする意欲を引き出すことを最大の眼目にした・・・。

まさに財政改革の源流的日本人であり、愛の改革者であった・・・。

杢の著したものとされる「日暮硯」・・・、今、必読の書です。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

参考文献:「日暮硯」と改革の時代/笠谷和比古  和の実学/大和信春