起業は究極の遊び

すべての顧客&社員&取引企業が輝くことの出来る「日本で一番大切にされる会社」「社会にとってかけがえのない会社」「地域にとってカッコいい会社」を創造するためのヒント。 さらには、会社にとって、社会にとってかけがけのないビジネスパ-ソンになるためのヒントのおすそわけ!

ペットを預かる

坂本光司氏(経営学者)に学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・

東京都町田市とその周辺は人口急増地域ということもあって、大手家電量販店の進出が相次いだ時期がある。

しかし、「この町ではとてもかなわない」と言ったかどうかは知らないが、それら量販店の半分は撤退したという。

その原因は、大手同士の激戦もさることながら、地元のY電気店の存在が大きいと思われる。

電気店は、大手家電量販店が進出してくるまでは、どこにでもある普通の電気屋さんだったが、「このままではジリ貧になる」と危機意識を持ち、Y社長を中心に改革に取り組んだ。

その一つを紹介する。

それは、それまでの不特定多数の顧客を特定多数・特定少数の顧客に絞り込み、顧客満足度の高い顧客密着型の販売サ-ビスに転換したことにある。

より具体的に言えば、それまで三万世帯あったデ-タベ-スを、高齢者単身世帯、高齢者夫婦世帯を中心に一万世帯に絞り込み、店頭販売中心から訪問販売中心に切り替えたのだ。

もとより手ぶらで訪問販売に出向いたところで見込みは薄いので、売らんがためではない文化誌、情報誌としての「かわら版」を作成し、それを配達しながらの、御用聞きビジネスを行ったのだ。

こうした御用聞きビジネスを繰り返すうち、高齢者世帯におけるY電気店への評価は次第に高まった。

やがて、店員が訪問すると、まるで自分の息子、娘のように、「いい時に来てくれた。申し訳ないが雨戸の締まりが悪くて・・・」とか、「冷蔵庫の場所を動かしてほしい」、あるいは「家具を修理してくれないか」といった相談や手伝いを依頼する高齢者が次第に増加していったのだという。

そして、「次はお宅で電化製品を買わせてもらう」という言葉どおり、家電量販店と比較すれば間違いなく値段や品揃えは不利なのにもかかわらず、あえてY電気店を選んでくれるようになった。

また、こんな話もある。

ある老夫婦だけのお宅で、二人共が入院しなければならない病気にかかってしまった。

二人は「家族のように可愛がっている犬を残しては行けない」と、かたくなに入院を拒んでいたという。

それを知ったY電気の担当者は、彼らに、「入院して一日も早く病気を治してください。その間、私がずっと犬の面倒を見ますから」と言ったそうだ。

その老夫婦は、「あなたなら安心です」と数日後、入院した。

彼らがその後、電気店の上得意になったことは言うまでもない。

(私の心に響いたサ-ビス/同友館)

仕事において大切な考え方があります。

それは「どうしたら儲かるかではなく、どうしたら喜んでもらえるか」・・・。

もちろん事業を円滑に運営していく上で儲けることは必要です。

しかしそれは結果で、その儲けるという結果ばかりに意識を向け過ぎると、大切なことを見失ってしまいます。

いつのまにか自分の利益のみに走るようになり、損得でしか物事を考えないようになってしまう・・・。

その結果、いつまでたっても儲けることが出来ないばかりか、事業を頓挫させることになってしまいます。

商売がうまくいくか、いかないかは結局やってみなければわかりません。

しかし、うまくいかせるために「誰に」「どうしたら喜んでもらえるか」を徹底する努力は怠らないようにしたいものです。

幅広い層の人たちにファンになっていただくことももちろん素晴らしいことだと思います。

しかし中小は、出来るだけ「誰に」を明確に絞り切り、その対象の人たちのみに徹底したサ-ビスをしていった方が良いようです。

これからは先行き不透明な時代ですが「商人とはどんな時代になっても儲けることが仕事」・・・、この気概だけは忘れないようにしたいものです。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。