「ノ-」を「イエス」にひっくり返すもの
上原春男氏(海洋温度差発電推進機構理事長)に学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・
成功や成長のいちばんの基礎となるものは、やはり一歩ずつの精進であり、コツコツと自分の根を肥やしていくことです。
根が太くならなければ、幹も枝も伸びません。
成長とは、戦略よりも姿勢の問題だといっていいかもしれません。
かつて司馬遼太郎さんが大きな賞をもらったとき、喜ぶのは今日限りで、明日からはまた一人の「書生」として原稿用紙を一枚一枚埋めていく作業に戻ると述べておられたことがあります。
逆風を耐え、順風をさらに追い風とするのは、そうやって小さな力を毎日積み重ねていく、静かだが引き締まった姿勢なのです。
ダメだと言われた話には脈があるといったのもそのことで、相手がダメな理由を出してきたら、何度でも出直して、それを一つひとつしらみつぶしにしていけばいいのです。
時間をかけてもいいから相手が納得せざるをえない回答を一個一個与えていく。
そうすればだんだん、相手はノ-と言う理由を失い、最後にはイエスと首をタテに振るしかなくなります。
ダメと言うことは、そのダメの条件をクリアすればイエスにひっくり返るということ。
だからノ-と言われた話は、そう言われている間はまだ命脈を保っているのです。
もちろんノ-をイエスにひっくり返すためには、相手のもとへ何度も足を運び、相手が根負けするまで何度も説得しなくてはなりません。
百回ダメと言われても、粘りや執念で百一回をめざすのです。
そもそも、価値ある話だから何度も足を運ばなくてはいけないのであって、一度で用がすむような案件なら、それはたいした問題ではありません。
大きな事案、価値ある問題だからこそなかなかOKが出ないのです。
だから相手に断られたら、これはいい話だ、やりがいのある課題だと思って間違いありません。
「そうはいっても、相手は会ってもくれないし、会っても取りつくしまもないからなあ」と、そう反論する人もいるでしょうが、お願いごとにいくのだから相手の反応が鈍いのは当たり前です。
私の経験からいっても、十人中九人、最初は取りつくしまもありません。
それでもめげずに何度も足を向け、あいさつ程度の短い話だけでも交してくることが肝心です。
今日は都合が悪いと面会を断られ、じゃあ出直してきますといったん退室するふりをして、外の廊下でじっと待っている。
やがて相手が出てきて、
「あれ、帰ったんじゃないの」
「そのつもりだったんですが、考えてみれば、この話以外にそれほど重要な問題もないので・・・」
「キミもヒマだなあ」
「この話にOKが出れば、にわかに忙しくなるんですが・・・」
そんなことを繰り返すうちに相手もしだいに胸襟を開き、向こうのペ-スがだんだんこちらに移ってくる。
そんな経験もありました。
(「抜く」技術/サンマ-ク出版)
営業活動などにおいて多くの人は「ノ-」を「イエス」に変える画期的なノウハウを聞きたがる傾向にあります。
画期的なノウハウは確かに存在しますが、それでも一番大切なのは100回断られたら、200回、200回断られたら、300回でもアプロ-チするという粘り強さでしょう。
この粘り強さがあってこそ、画期的なノウハウも生きてくるからです。
そしてこの粘り強さを生み出しているものは、自分の仕事に対する大きな誇りであり、また、商品に対する熱い想い・・・。
“誇り”と”想い”こそが「ノ-」を「イエス」に変える最大のエネルギ-となります。
本当に価値ある商品だからこそ、何度も足を運び、提案しなければなりません。
本当に価値ある商品だからこそ、努力して販売しなければなりません。
このことを忘れないようにしたいものです。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。