正解主義
立花貴氏(事業家・漁師)に学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・
藤原和博先生は、今の時代の「正解主義」に対してとても危機感を持っている。
こどもから大人まで、全員が「正解」を求めたがっているというのだ。
たしかに、僕も震災後に「間違いたくないから判断しない」という大人たちにたくさん遭遇した。
日野皓正さんに「ドラムを叩いてごらん」と言われて、「どうやって叩くんですか」と聞いたこどもも、正解主義を象徴していた。
受験中心の教育の弊害かもしれない。
「正解はない、自分で考えるのが大切だ」と、こどもたちに言葉で伝えるのは難しい。
学生時代には、先生や親が正解を教えてくれるかもしれないが、社会人になったら、常に正解がない中で仕事や生活をしていかなくてはいけない。
「正解がわからないから、やらない」という選択肢ばかりとっていると、新しいものは何ひとつ生まれない。
今までの歴史の中で、人間はいろんなチャレンジをして、失敗しながら進化してきたはずなのに、いつのまにそれを忘れてしまったのだろう。
漁師は、若い人にやり方を教えない。
自分がやるところを見せて、勝手に覚えさせる。
だからロ-プの結び方ひとつとっても、人によって違う。
荷降ろしするときにも、皆の動きにはムダがない。
重い物をなるべく持たないように、腰を痛めないよう、無駄な力をかけないよう、次の荷物を置きやすいようにする。
自分のほうの作業が終わっても、別の人の作業がたまっていたら、何も言われなくてもそれを手伝う。
その場に適した動きをするというのは、経験の中で培われてくるものだ。
そして、相手を思いやる気持ちから自然に生まれるものだ。
(心が喜ぶ働き方を見つけよう/大和書房)
立花貴氏は東京で会社を経営していましたが、東日本大震災直後、お母さんと妹さんの安否確認のために仙台へ・・・。
そしてすぐに東京へ戻るつもりでしたが、現地で10万食の炊き出しを行うことに・・・。
その後、石巻市雄勝(おがつ)町を中心に支援活動にあたり、人生の針路を転換して事業家兼漁師になった人物です。
雄勝で日本の新しい町づくり、新しい漁業に取り組んでいる次世代のリ-ダ-でもあります。
ところで私たちは往々にして正解は一つであるという認識を強く持っています。
この認識が強過ぎると、何か行動を起こすにも恐怖が先に立ってしまい、新たなことにチャレンジ出来なくなってしまいます。
さらには視点が目先にのみ集中し、長期的視点も妨げられてしまいます。
これによって依存傾向が強くなってしまう・・・。
これは学生時代、受験勉強等により、一つの正解を求める訓練を長い間積み重ねてきてしまった弊害であるのかもしれません。
その結果、正解は一つであるという信念を強めることになってしまった・・・。
しかし、社会に出ると正解は何百とあります。
過去の根強い考え方を変えていくためには新しい考え方の意識的な積み重ねが必要でしょう。
正解は一つではなく、無限にある・・・。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。