正論で考える
林野宏氏(クレディセゾン代表取締役会長CEO)に学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・
小説家・僧侶・政治家として活躍された今東光氏が、「人生ではずるさが必要」と主張する若い編集者に、こう応えたそうです。
「人生で一番大切なものは、正直であり、誠実であり、愛情である。
人間とは弱いものなんだ・・・。
いかにこの世の中はずるい壁が厚いかという体験をしながら、それに巻き込まれずに乗り越えていくのが成功者というんだ」
弱肉強食のビジネスの世界ですが、その戦いは正々堂々と正当な手段で展開されなければなりません。
利益は出るが後ろめたい仕事、裏取引による仕事などは、押しつけられてもしてはいけません。
人間は弱いものですが、ビジネスにおいても、自分の弱さとつねに戦っていくのだという自覚が必要です。
また今東光氏は、こんなこともおっしゃっています。
「名詩といえども、相手が低ければ決して名詩とは受け取られない。名詩を鑑賞できる人は、優れた詩人であるともいえる」
受け取る側の心根が低ければ、どんなに良いものでも、その価値がわからないということです。
ビジネスは、人と人の間に生まれる信頼と理解とをもとにしたものです。
私のところには、毎日様々な意見や考え方が寄せられますが、それらに耳を傾けるとき、私はいつもこの言葉を思い浮かべるよう心がけています。
私自身、日々心構えを新たにしないと、“低き者”のまま毎日に流され、名詩の価値に気づかないまま過ごしてしまいかねないからです。
(運とツキの法則/致知出版社)
ビジネスを語る時には戦略や戦術、攻略、拡大といった言葉がよく使われます。
これらは戦争用語から来ているのですが、このような言葉を使っている限り、ビジネスとは弱肉強食の世界であるというような信念を強めていってしまうように思います。
確かに戦争は弱肉強食の世界に属するものであり、生きるか死ぬかのような極限状態に置かれた場合には、確実に善人よりずる賢い人間の方が勝つことでしょう。
しかし、私はそもそも仕事という世界は弱肉強食の世界ではないし、ましてやずる賢さなど全く必要ないと思います。
もちろん相手の悪意を見抜く眼は必要だとは思いますが・・・。
仕事とはずる賢くやったり、相手を叩き潰し、独占状態を目指すことでもありません。
自己表現の場であり、人を喜ばせ、感動させる場です。
また、林野氏が言うように、人と人の間に生まれる信頼と理解とをもとにしたものでしょう。
これこそが正論であり、仕事の根本・・・。
ところが今の時代、残念ながらこの部分が当たり前ではなくなってきているような気がします。
だからこそ、この当たり前の正論・・・、大切にしていきたいものです。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。