起業は究極の遊び

すべての顧客&社員&取引企業が輝くことの出来る「日本で一番大切にされる会社」「社会にとってかけがえのない会社」「地域にとってカッコいい会社」を創造するためのヒント。 さらには、会社にとって、社会にとってかけがけのないビジネスパ-ソンになるためのヒントのおすそわけ!

汚れ仕事に「誇り」を見出す

稲盛和夫氏(盛和塾塾長・京セラ創業者)に学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・

盛和塾でビルや橋梁などの塗装を業とするペンキ屋さんから、「世間で3K職種と呼ばれる風潮のなか、どうすれば社員に仕事の誇りを持たせることができるか、悩んでいます」ということを聞く時があります。

ただ、彼が「家業だからしかたなく継いだ事業ですが、多額の借金を抱えてもう後戻りもできないのです」と言ったとき、ガックリ肩が落ちました。

経営者がそれでは、いくら従業員に「仕事に誇りを持て」と言っても、理解してもらえるわけがありません。

私なら、ペンキ屋稼業の壮大な夢を描きます。

いままで錆だらけだった橋梁や、汚れていた建物も、ペンキを塗り直せば美しくよみがえるではありませんか。

どんどん仕事をとってきて、街の美化に貢献しよう、さらには塗装をすることで錆を防ぎ、金属製品の長寿命化にも貢献する、私ならそう考えます。

現実問題、暑さ厳しい夏の日も、寒さ厳しい冬の日も、外で仕事をするのはきついでしょう。

けれども、「自分は都市空間の環境を整備するというすばらしい役割を担っている」と思えば、現場のつらさ、苦しさも乗り越えられます。

「誇り」を持って、仕事に取り組めるのです。

人は目先のつらさに囚われると、「誇り」を見失ってしまいます。

そして、さらに「つらい、つらい」と思い詰め、ついには自分の仕事を「汚い、恥ずかしい」と断じて、投げ出してしまうことになります。

どんな汚れ仕事にも必ず高邁な意義があり、さらには限りない夢が広がっています。

(ど真剣に生きる/NHK出版)

ここである煉瓦職人の話を紹介させていただきたいと思います。

煉瓦の塀がず~っと続いていて、何メ-トルかおきに職人さんが並んで煉瓦を積んでいます。

そこに、一人の旅人が通りかかって、最初の煉瓦職人さんに声を掛けました。

「こんにちは、お暑いですね。何していらっしゃるんですか」最初の煉瓦職人さんは「見りゃわかるだろう、煉瓦を積んでるんだ」とちょっと不機嫌そうに旅人に向かって答えました。

旅人は「すみません、お邪魔しました。頑張ってください」と言って、また歩き出しました。

しばらく行くと、二番目の煉瓦職人さんが前の人と同じように煉瓦を積んでるところでした。

「こんにちは、お暑いですね。何してらっしゃるんですか」二番目の職人さんは「私は、生活の糧を得るために煉瓦職人をしてるんです。家には妻と二人の子どもがいて、こうやって煉瓦職人として稼ぎ出す給料で家族を養ってるんですよ」

「あ~そうですか、頑張ってください」と言って、またしばらく歩いていくと、三番目の煉瓦職人に会いました。

今度も同じように「こんにちは、お暑いですね。何してらっしゃるんですか」三番目の職人さんは、旅人を見て「あっ、ここを見てください。ず~っと続いているこの塀は、実は、この場所に新しい学校が建つんです。これは、校舎の周りの塀になるんです。今まではこの地域に学校がなくて、ここの子どもたちは、みんな越境して冬の間は遠くの村に住んだりして、学校に通ってたんですが、ここに学校ができると、みんな家から通えるようになるんですよ。そのための学校の塀を今、造ってるんです」って生き生きと答えました。

中野裕弓氏「降っても 照っても 大丈夫」より抜粋~

お金を得るためだけに仕事をするのもいいでしょう。

しかし同時に高邁な意義を自分なりに確立して仕事に取り組むことはもっと素晴らしいことでしょう。

仕事に誇りを持つためには意義を確立すること・・・。

そしてこれは仕事を好きになる努力をすることでもあります。

今自分に与えられている仕事を好きになるように努力したからこそ仕事が楽しくなる・・・、そして更なる誇りが持てるようになる・・・。

仕事に貴賤はありませんが、誇りを見出す努力は怠らないようにしていきたいものです。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。