独創的な新商品は一人の狂人がつくる
牟田學氏(経営コンサルタント)に学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・
さまざまな新事業の開発や、新商品開発の現場に立ち会うが、その成功のほとんどの場面で感じることがある。
それは、最終決定を会議に頼ってはいけないということだ。
会議というものは、公平や平均や多数を見るときに最適である。
多くの会議は、画期的なことや、爆発的なことや、非常識的なことには、まったく向かない。
画期的で、独創的な事業や商品を開発したいときには、多数の意見を聞くよりも、優秀な感性型の人材を選び、たった一人の人間に任せることを推したい。
その一人の人間に、寝ても覚めても、そのことしか考えたり、感じたりしない、集中して熱中することを要求する。
つまり、一人の狂人をつくるわけである。
そうすることによって、目に見えないようなものが見えたり、ひらめいたり、直感できたりするようになる。
ついには、神仏に祈るようになると、アイデアがこんこんと湧き出てくる。
車の開発現場に立ち会うと、そういう狂人が一人で、あらゆる車のデザインを集めて研究し、心血を注いで設計した。
少し丸みのある車のフォルムが、女性の身体に似ていて、色気まで感じるほどの素晴らしさであった。
特に、テ-ルが丸く絞ってあった。
ところが、その狂人が、重役会議で説明し終わった途端に、複数の役員が、「丸みを帯びると小さく見える。もう少し鋭角をつけてくれ」と、注文を出した。
確かに、角張ると大きく見える。
結局、アメリカの車のように翼を広げたデザインが、会議で決まったが、何の面白さも、斬新さも、洗練されたところもない車に改悪されてしまって、私も、担当した狂人も会社を去ったことがある。
会議で決定することには、画期的なものはないし、できない。
(打つ手は無限/サンマ-ク出版)
企業においては新たな商品を開発し続けることはとても大切なことですし、それに対しては様々な方法が取られています。
しかし、良いアイデアも全体会議などにかけられるとどうも一気に面白くないものとなってしまい、また無難なものに成り下がってしまうケ-スが多いと聞きます。
会議などではどうしても「失敗は許されない」という思いに強く支配されがちです。
結局、売れるか売れないかはやってみなければわからないわけですが、それでも私たちは売れる保証を先に求めようとします。
これは私の個人的な考え方なのですが、何か新商品のアイデアがひらめいたということは天が自分にやらせたがっていることだと思うのです。
そこにニ-ズがあるとか、ないとか、そんなことに意識を注ぐのではなく、そのアイデアを形にすることだけに注力する・・・。
ひらめいたということは、ニ-ズがあるのです。
商品を待ってくれているお客様がいるということです。
このことを信じた方がいいように思います。
ひらめいたアイデアは赤ちゃんのように辛抱強く育てていかなければなりません。
アイデアを殺してしまってはいけないのです。
アイデアを殺す会議は最悪です。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。