不揃いが総持ちで支え合う
小川三夫氏(鵤工舎創設者)に学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・
職人は独立したら親方になって若い者の面倒を見なければならないし、弟子も育てなくてはならないわけだ。
弟子を育てるにはそれなりにいいこともあるわけだ。
みんな高い給料になると、効率は上がるが、腕も、考えも同じくらいというのが集まってもろくなことはない。
大勢育てるときは、不揃いなのがいいんだよ。
不揃いでなくちゃあかんのや。
いいのもいる、悪いのもいるっていうのがいいんだ。
不揃いは社会の基本だ。
例えば、不揃いな材でつくった法隆寺や薬師寺の塔は、それらが一本一本支え合って、「総持ち」で立っているんだからな。
総持ち、いい言葉だな。
みんなで持つ。
不揃いこそ、社会のかたちとしては安定感があるし、強い。
それが、いくら腕がよくたって同じ程度のものだけが集まると同じ考えになって、同じことになってしまうんだ。
均一というのはよさそうだが、幅がないんだ。
不揃いのものを扱うのは、木でも人間でも大変だ。
規格化されたものは楽だ。
しかし、その不揃いの木の癖を生かして一本一本組めば、千年を超えて塔を支えているんだからな。
(不揃いの木を組む/文春文庫)
不揃いこそ社会の基本であり、だからこそ力強く安定した社会になるわけです。
一方で人間が均一化された社会は不自然であり、弱々しく、いつかは崩壊してしまいます。
これは会社組織でも同じことでしょう。
会社のリ-ダ-は、「不揃いこそが最強」ということを根本に置いた上で、部下の癖を見抜く必要があります。
そして、その組み合わせの妙を楽しむことが出来るのが本物のリ-ダ-と言えるでしょう。
リ-ダ-を任された以上、自分が会社に在籍している期間だけ何とかなればいいなどという浅はかな考えは捨てなければなりません。
会社の向こう10年、30年先、いやいや100年先のことを考えて、人材育成を図るべきでしょう。
ところで、部下の癖を見抜くためには目で見るのではなく、心の眼で観ることが必要になります。
心の眼で観るとは見えないものを見抜くということです。
この力を引き出し、磨いていくためには自然の多様性から謙虚に学ぶのが一番だと思います。
不揃いの総持ちで支え合う・・・、それが自然の世界・・・。
会社も不揃いの人材の癖を生かして一本一本組めば、1000年企業に成り得る・・・。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。