成長は会社をダメにする?
リカルド・セムラ-氏(セムコ社CEO)に学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・
「成功」には、その具体的な定義がもとめられます。
そうすることで、わたし達は、何に向かってがんばればよいのか認識できるからです。
一見、簡単に定義できそうに思えますが、実はこれがなかなか難しい。
ビジネスでは、ほとんどの人が、成功とは、成長、利益、商品が市場に受け入れられること、または品質であると定義します。
もし、成長が成功に不可欠なものであるとするなら、会社としては成長の安定的持続を保証する手段を講じる必要があります。
しかしながら、永久に成長し続けるものなどありません。
本来、成長は一時的なものにすぎないからです。
一番背の高い木は、最初に落雷を受けるものです。
ある医学会の会合で、永久に成長し続ける細胞の存在を尋ねたところ、ある人が、がん細胞がそれにあたると発言しましたが、結局はそれも身体の主を死にいたらしめてしまうということで、そうではないということになりました。
それなのに、会社だけがいつまでも成長し続けることが可能な唯一の組織であるとは、どうしても思えないのです。
わたしがかつて受講した物理学の講座で、最後に教授がつぎのような質問をしました。
「君達は、一体どこまで深く森の中を進むことができると思うかね?」
正解は「森の中間地点」でした。
森を越えてしまったら森から離れてしまうからです。
わたしは、自社の成長を考えるとき、このことを常に思い出します。
わが社は、はたして成長しているのか、それとも森から離れようとしてはいないだろうか?
永久に成長するものなどありません。
しかし、多くの事業家はそれを望んでいます。
そのビジネスの自然な成長を超えてまでも成長する必要があるのでしょうか。
最低限必要な利益を超えた分は、必ずしも会社の存続に必要なものとは言えません。
会社にとって、運転資金に必要な額、顧客や競争相手の対応に必要な利益を大幅に超える成長は本当は必要ではないのです。
(奇跡の経営/総合法令)
著者のリカルド・セムラ-氏は言います。
「あまりに過剰な利益は、別の不安定要因を生み出すだけです。
余剰の利益を会社に再投資することは、独房をつくりすぎたから、それを埋めるために、囚人をつれてこようとするようなものです。
または、余ったバイオリンがあるから、オ-ケストラにもっとバイオリン奏者を雇おうとするようなものです。
最終的に、バランスを崩してしまうのです。
赤字は会社にとって致命的なものですが、黒字も大損失を引き起こすことだってあるのです。
組織は、小さな規模のまま事業領域を絞ることで、何世紀にも渡って存続できるものなのです。
いわゆる老舗と言われる会社は、すべてそれによって何百年も存続しているのですから」と・・・。
成長企業とは毎年売上を伸ばしている会社、一等地に立派な社屋がある会社、従業員が多い会社、テレビCMを頻繁に打っている会社・・・、そのようなイメ-ジがあるかもしれません。
そのようなイメ-ジは「成長は良いことである」「常に成長し続けなければならない」という思考によって支えられているように思います。
しかし、この考え方は本当に正しいものなのでしょうか。
ビジネスに携わる人たちは今こそ“企業の成長”について深く考えてみる必要があるのではないでしょうか。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。