起業は究極の遊び

すべての顧客&社員&取引企業が輝くことの出来る「日本で一番大切にされる会社」「社会にとってかけがえのない会社」「地域にとってカッコいい会社」を創造するためのヒント。 さらには、会社にとって、社会にとってかけがけのないビジネスパ-ソンになるためのヒントのおすそわけ!

時には顔を上げて上を見ろ

川口淳一郎氏(衛星「はやぶさ」プロジェクトマネ-ジャ-)に学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・

2010年の「はやぶさ」帰還以降、宇宙に対する世間の注目も高まり、若い人からよくこんな質問を受けるようになりました。

「宇宙の仕事に携わりたいけれど、どんな勉強をすればいいでしょうか」

「どんな本を読めばいいのでしょうか」。

私はきまって「何も準備する必要はない」と答えます。

宇宙研の後輩に女性の研究者がいますが、彼女は4年間文学部考古学科に籍を置き、大学院で航空宇宙工学を専攻しました。

何を準備しておけばよいかと考え出すと、その準備を徹底するための勉強をしたがる。

そしてひたすら学びを極めようとしますが、その先に将来が約束されているかというと、答えはNOです。

スティ-ブ・ジョブズは大学を中退してアップル社を立ち上げましたが、その理由は「大学に行っても読み書きしか教えられない」というものでした。

本当にやりたいことが本人に分かっていれば、いつまでも学びの場に身を置いておく必要はないのだと思います。

日本人はまず広くしっかりした土台をつくり、その上に何かを積み重ねていってピラミッドのようなものをつくろうとします。

私はそのやり方はダメだと若い人に話をします。

ではどうすればいいか?

竹槍でもいいから、まず高い塔を建てなさい。

最初は頼りなくてふらふらしているかもしれないけれど、それでもいい。

やがてその竹槍が太くなり、強靭な土台ができ上がっていくのです。

「高い塔を建ててみなければ、新たな水平線は見えない」というのが私の持論ですが、その原点になっているのは子供の頃、父から聞かされた言葉でした。

「足下ばかり見るんじゃない、時には顔を上げて見ろ」

一頭の牛が紐に繋がれて大草原にいる。

牛は紐の届く範囲の草を、黙々と徹底的に食べ尽くす。

しかし一度も顔を上げてみようとはしない。

顔を上げてみれば大草原が遥か遠くまで広がっていて、おいしそうな草が山ほどあるのに、そこに気づかないでいるのです。

同じような状態に陥っている人はいないでしょうか。

コツコツ学ぶことも必要でしょう。

しかし、知識は人類が何百年、何千年にもわたって蓄積してきたものです。

一人の人間がそれを完全にマスタ-するのは到底不可能です。

そこでまずは「こういうことがしたい」という明確なビジョンを持つ。

そのために英語の文献を読まなくてはいけない、だから英語の勉強をしよう。

夢や目標を叶えるためのプロセスは、そういう順番であるべきだと思います。

(夢を実現する発想法 山中伸弥 川口淳一郎致知出版社

著者の川口淳一郎氏は宇宙航空開発機構シニアフェロ-。

科学衛星「さきがけ」「すいせい」などのミッションに携わり、あの「はやぶさ」のプロジェクトマネ-ジャ-を務めた人物です。

川口氏は「学びのプロ」になってはいけないと言います。

『学校などでの勉強は「材料集め」のようなもので、言うなればHOW(手段)の習得にすぎません。

のこぎりや鑿(のみ)といった道具を集めてその使い方をマスタ-したり、英語の本を読めるように勉強するということです。

しかし社会に出てから本当に大切なのは、そののこぎりで何をつくるのか。英語の論文を読んで何をするのかということ』なのだと・・・。

色々と学ぶことは素晴らしいことです。

しかしノウハウコレクタ-になってしまってはいけません。

学びはすべて自分の掲げた旗を生かすためにあるのですから・・・。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。