起業は究極の遊び

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経営トップはつねに「引き際」を意識する

樋口廣太郎氏(元アサヒビ-ル社長)に学ぶビジネスを輝かせるためのヒント・・・

クラッシック音楽のファンではない人でも、ベルリン・フィルというオ-ケストラの名前ぐらいは耳にしたことがあると思います。

言わずと知れた、世界最高のオ-ケストラの一つです。

そのベルリン・フィルの第一バイオリン奏者が、こんなことを言っていました。

ベルリン・フィルでは、第二バイオリンのほうがいい音を出すと思ったときは第一バイオリンの奏者がその席を潔く譲り、自分は第二バイオリンに退く」・・・。

人間の「引き際」を考える上で、これほどわかりやすく、しかも説得力のある言葉はないでしょう。

実力主義のオ-ケストラの世界で、第一バイオリンの奏者が自ら第二バイオリンに退くというのは、ひどく屈辱的なことに違いありません。

しかし彼らは、自分よりいい音を出す奏者の力量を見極める能力があるうちに、後進に道を譲るのです。

おそらく、そこで彼らはプロとしての最後のプライドを見せようとするのではないでしょうか。

第二バイオリンに退くことにより、自らの引き際を見誤ることのほうが、彼らにとっては大きな屈辱なのです。

(だいじょうぶ!必ず流れは変わる/講談社

引き際とは物事を終わらせるのに適した時期のことであり、やめ時・潮時・退きどき・はなれ際・・・。

しかし、この引き際を見極めるというのは経営トップにはとても難しいものです。

引き際を見極められずに晩節を汚すトップが多いのもこのためでしょう。

著者の樋口廣太郎氏は言います。

「晩節を汚すのは、自分の実績を「痕跡」として残すことにこだわるからではないでしょうか。

もちろん、それなりの地位になれば誰でも自分の足跡を遺しておきたいと願うものです。

しかし、その気持ちはえてして地位への「未練」を生んでしまう。

この未練が、晩節を汚す元になるのでしょう。

だからこそ、引き際をきれいにするには、逆に自分の痕跡を残さないような姿勢が求められるのです」と・・・。

トップに就任して間もない頃には、実績は皆の実績であると謙虚に構えていても、月日が経つと、いつのまにかすべては自分の実績である、自分がいるからこそ出来たのであるという傲慢な姿勢にとって変わるトップは多いものです。

故に自分がいなければこの会社は危なくなってしまうというような思いが生じ、それが未練となるのでしょう。

会社とはもちろん業績を上げる場でもありますが、一人の人間としての修養の場でもあると思うのです。

業績が上がれば上がる程、地位が上がれば上がる程、人間力を磨いていかなければバランスが崩れるのは当然でしょう。

自分の痕跡を残さないような姿勢・・・、この姿勢こそ大切にしていきたいものです。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。